Women in Robotics – 2025年9月15日
Kari DeSantis氏の人物像
2025年の「ロボティクスの未来を形作る10人の女性たち」
この度は、IFRの「ロボティクスの未来を形作る10人の女性たち」の一人として、素敵な方々とともに選んでいただいたことを、大変光栄に思います。私たちはそれぞれ唯一無二の才能を発揮しています。ロボット業界において多様性を推し進めていくことは重要です。当社の事業には、優秀な人材を呼び込むためのエンジニアリングや技術分野に注目した取組みは数多くありますが、今回マーケティング部門が評価されたことを大変嬉しく思っています。実際、ロボット業界では、技術分野だけでなく、事業・運営担当者も素晴らしい機会を得ることができます。多様な人々を惹きつけ、異なる視点を迎え入れたとき、想像を超えた可能性が解き放たれます。
FANUCで働いて30年近くになりますが、私は、革新的なマーケティング戦略を通じて、当社の自動化ソリューションがより魅力あるものとなるよう取り組んできました。私が常に目指しているのは、自動化によって得られる革新的で刺激的な機会についてお客様に伝え、インスピレーションを与え、そうした機会をお客様に提供することです。
私をリーダーとして形作ってきたものは何か。また、私が影響を与えることができたのはなぜか。これらに対する私の考えは、以下のとおりです。
ありのままの自分でいる
働き始めて間もない頃にいただいた印象的なアドバイスの中に、「自分の個性を受け入れる」というものがありました。私が持つマーケティング的な視点を、自分を目立たせる強力な武器として利用するということです。人と異なることは制約とはなりません。むしろ、自らを力づけ、奮い立たせる強みとなります。
ロボット業界に足を踏み入れたばかりの頃、職場や、プレゼンや会議の場で、女性は私一人だったことがしばしばありました。周りはエンジニアばかりで、マーケティング的な思考を持つのは私だけでした。私は常にロボットのコンセプトを理解し、主要な技術的優位性について分かりやすく説明することができましたが、エンジニアの思考回路とは異なりました。これが多様性の美しさなのです。私は勇気を出して、遠慮なく発言するようにし、異なった視点が明らかになるような質問を投げかけ、アイデアを出すために戦略的に先入観を排除し、自分が進めたいと思った取組みをサポートしてもらえるようにしました。
実のところ、異なる視点を受け入れたときに魔法が起きるのです。議論はより実りあるものとなり、より頑強なソリューションが生まれ、私たちの活動の成果はさらに広がっていくのです。
好奇心を育む
当社の製品が、先方の従業員、生産効率、事業、そして究極的には収益に対し、どのように役立っているのか。こうしたことについてお客様やSIerの方々と話すのを楽しんでいます。好奇心旺盛な私は、質問もたくさんします。この好奇心のおかげで、数々の仕事上のハイレベルな議論に参加し、信頼関係やネットワークを築くことができるようになりました。あくまで純粋な好奇心からで、自分のキャリアのための関係づくりが目的ではありませんでしたが、結果的にはそうなりました。
好奇心は扉を開き、会話を生み、アイデアを育むのです。
戦略的なビジョン
当社が公式なSIerプログラムを立ち上げる際に、その初期段階から関わる機会に恵まれました。プログラムの下準備をし、基礎的な要素を構築する中で、これがマーケティングの機会となり得ることに気づきました。
当時、いわゆる一般産業においてロボティクスは成長途上にありました。一般産業には、基本的に自動車産業以外の全てが含まれます。一般産業は新たな世界で、それまでとは全く別の形で自動化が行われていきました。自分たちの技術で何をするかだけでなく、大小を問わず、あらゆる業界で何が成し遂げられつつあるか、技術が与える影響を目の当たりにし、とても興奮しました。多様性の実現、適用範囲の拡大(搾乳から調剤まで)、そしてイノベーションは成功しました。あらゆるシステムが順調で、仕事はより充実した、安全なものとなり、企業の生産性と収益は向上しました。製造業は地域にとどまり、まだ解決されていない課題に取り組んでいました。こうした話に興味がかき立てられると同時に、刺激も受けました。
当社はSIerとともに新たな道を切り開き、構築していきました。それでも、ロボット業界のマーケティングというのは専門的で、地味で、味気ないものでした。私はそれを変えたかったのです。
私はSIerのソリューションを活用するための市場戦略を立てました。これにより、当社のマーケティング活動は軌道に乗り、今日まで成功を収め続けていると自信を持って言えます。
野心vs情熱とエネルギー
キャリアを積むにつれて、野心vs情熱の役割について何度も考えるようになりました。野心とは、何かを成し遂げたいという強い願望や決断と定義され、通常ハードワークと献身が求められます。また、公私を問わず、自分の目標や志が生まれる原動力となるとも言われています。仕事への情熱を持つことは、自分の仕事を楽しんでいるということを意味します。自分の仕事に意義や目的を見出しているということです。オプラ・ウィンフリーの有名な以下の言葉に尽きます。「情熱はエネルギーです。自分が楽しいと思うことに集中することで湧き出て来る力を感じ取ってください。」
私は幸運にも素晴らしいリーダーと先輩方に恵まれましたが、誰かに無理強いをされたわけでも、決められたとおりにしたわけでもありません。やる気と情熱を胸に、自分の責任で進んできました。良質なアイデアは枯れることはなく、常に湧き出て来ました。情熱があれば、順調なものも、チャレンジングなものも、どのような仕事でもやり遂げられます。情熱が周りを支え、勇気づけ、力を与えてくれます。あらゆるキャンペーン、あらゆる顧客体験、あらゆる戦略、あらゆる努力は、自分の組織のために正しいことをしようとするやる気と情熱から始まります。
私の経験から言うと、情熱とやる気を胸に先頭に立って取り組んだときは、いつだって実を結ぶのです。
バランス
女性である私たちは、仕事と家庭の両立という難問にしばしば直面します。特に米国では、「はたして理想的なバランスは実現可能なのか?」という議論が多くなされています。はっきり言いましょう。社会というのは、決まってこの難問を女性に突き付けます。本当に全てを手に入れることはできるのでしょうか。まあ、各個人の定義の仕方によるということは間違いないでしょう。私にとっては、充実した、満足のいくキャリアは重要でしたし、家族を優先させることも同じくらい大事なことでした。
女性のキャリアや目標を支援する職場こそ、優秀な女性が定着する可能性が最も高いのです。
私は、最高の従業員であり、最高の母親であろうとしましたが、それをうまく両立できたのは幸運なことでした。この選択に後悔はありません。また、結局のところ、この選択が自分自身のキャリアの成長と成功を妨げることはありませんでした。私にとってはこれが正しい選択でしたが、私たちはそれぞれ自分の生き方を決める必要があります。私がお伝えしたいのは、自分だけの「全てを手に入れる」ビジョンを描くことはできるということです。
一息つく
現在、働く私たちは忙しく、スケジュールはしばしば溢れそうなほどいっぱいで、立ち止まったり、じっくり考えたりする時間はほとんどありません。しかし、何かを作り出すには単なる努力だけでは不十分で、頭が冴えた状態で、かつ余白があることが必要です。戦略を立てる、ソフトウェアのコードを書く、エンジニアリングソリューションを思い描く、説得力のあるキャンペーンを考案する。どのような作業をする場合でも、脳が悲鳴を上げていたら最高のアイデアを出すことはできないでしょう。頭がフル稼働状態のときは、満杯のコップにさらに水を注ごうとするようなものです。水は溢れ、何も成し遂げることはできません。
私は、いったん一歩引いて自由に考えを巡らせることで、大きな成果につながるプロジェクトもあることに気づきました。インスピレーションが湧くのは、そうした意図的に離れた時間からだったりします。
鍵となるのは、いつ立ち止まるべきかに気づくことです。一息つくことは、怠け心や要領の悪さの表れではありません。仕事の質を上げるための投資なのです。プレッシャーを感じずに考えられる時間を通して、自分の創造性が花開くことに気づくでしょう。
思いやり
この業界には素敵な方々がたくさん関わってくださっています。私はこの業界のために力を尽くしてきたつもりですが、同時に非常に多くのものを受け取りました。
素晴らしい環境で素敵な方々と働くことで、思いやりの心をずっと持ち続けることができます。
思いやりの心を見せて、最善を尽くしてください。同僚、従業員、経営陣、ブランド、お客様、そして私たちの業界のことを、大切に思ってください。
まとめとして
私はこの業界が大好きです。毎日新しい学びがあります。ここには、皆で協力して乗り越えるべき課題、達成すべき目標やゴールが常にあります。これまでの社会人生活の中で、最高の先輩方と出会えたのは幸運なことでした。今は素晴らしいマーケティングチームがいて、上司の支えがあり、率直に言うと、自分が面白いと思うことができて、ただただとても楽しんでいます。今回、素晴らしい方々とともに「Women in Robotics 2025」に選ばれ、恐縮するとともに大変光栄に思います。私たち一人ひとりの才能が織りなす多様なスキルの調和は、ロボット産業の成長を後押しし、優秀な人材を惹きつけ、業界全体の発展につながっています。
私たち女性は声を大にして、互いの志を支え合い、皆が成功できる場を作り出しましょう。
IFRの「Women in Robotics」の詳細については、こちらをご参照ください。
国際ロボット連盟(IFR)が配信するブログ(英文)の日本語参考訳を掲載しています。なお、原文と日本語参考訳との間に齟齬がある場合は、原文の内容が優先されます。
※ 原文はこちらからご覧いただけます。