IFRポジションペーパー

協働ロボット ロボットは人間とどう協働するのか

発行:国際ロボット連盟(ドイツ・フランクフルト)

発表:2024年11月

エグゼクティブサマリー

自動化への近道

協働ロボットは自動化への近道となる。プログラミングが容易であり、直接手で動かして教示する「リードスルーティーチ」やタブレット端末でプログラミングが可能なものもある。多くの場合、工場の生産現場で導入する際に追加の安全方策は不要であり、柵で囲うことなく既存の製造エリアに直接組み込んで稼働することができる。また、プラグアンドプレイ技術等を用いることで、現場に柔軟に適応させることができる。こうした特徴は、ロボット専門の技術者がいない企業や、少量生産を行う企業、製造ニーズが常に変化する業界においてとりわけ魅力的なものとなる。

協働ロボット vs. 従来の産業用ロボット

従来の産業用ロボットと比較すると、協働ロボットでは一般に、いくつかのトレードオフが生じる。これは、人間と安全に協働するという目的に基づいた協働ロボットの設計によるものである。現行の協働ロボットは、例えば、高い可搬質量や高速性が求められる工程には適用できないが、軽量な設計により、移設が容易であり、移動ロボットプラットフォームへ簡単に統合できる。協働ロボットは、人間とロボットの直接的なインタラクションが不要な多くの場面で使用されているが、こうしたケースでは、従来の産業用ロボットも選択肢となりうる。しかし、協働ロボットには、他にも様々なアプリケーションで有用な安全機能や能力が備わっている。

なお、人間の介入が必要な場合は、外付けの安全装置を備えた産業用ロボットが、速度や可搬質量を犠牲にすることなく、有効な解決策となる。安全装置としては、レーザスキャナ、ロック式安全ゲート、マットスイッチなどがある。

協働ロボットの主要な導入業界

製造業では協働ロボットを早くから取り入れており、例えば、自動車、電子、航空、消費財、医薬品、物流、倉庫などの分野が含まれる。協働ロボットは容易に使えることから、一般的に、多品種少量生産が求められる業界で導入が進んでいる。具体的には、溶接、マシンテンディング、バラ積みピッキング、生産ラインの最終工程でのパレタイジングなどが挙げられる。

協働ロボットは、CNC工作機械の扉閉めなど様々な用途で人間と並んで働くことができる。写真提供:オムロン

協働ロボットは、CNC工作機械の扉閉めなど様々な用途で人間と並んで働くことができる。写真提供:オムロン

協働ロボットの開発を推進するトレンド

熟練作業者の不足によって、自動化ソリューションの開発が進み、製造基盤は消費者により近い場所に再構築されるであろう。協働ロボットの新たな用途が開発され、単純なハンドリングから溶接、さらには塗装、塗布、組立に至るまで、その活用領域は広がり続けている。

協働ロボットメーカは機械学習システムを開発しており、これによりロボットは「学ぶ」ことができるようになる。こうしたモジュラー技術と学習アプローチによって、協働ロボットが無人で実行できる作業の範囲はさらに広がっていく。今後、新たなセンサや視覚技術、人工知能(AI)によって、ロボットが環境の変化にリアルタイムで対応し、人間の作業者と安全に、より柔軟に対応しながら働くことができるようになるであろう。

協働ロボット市場

2022年に設置された産業用ロボットは55万3,052台であったが、そのうちの10%を協働ロボットが占めている。IFRの統計によると、協働ロボットは、従来の産業用ロボットへの投資を補完するものであって、従来の産業用ロボットに取って代わるものではない。従来の産業用ロボットは、動作速度がはるかに速いことから、厳しい製品マージンに対応するために生産性を向上させる上で、今後も重要な存在であり続けるであろう。

国際ロボット連盟(IFR)が作成したポジションペーパー(英文)の、エグゼクティブサマリーの日本語参考訳を掲載しています。
なお、原文と日本語参考訳との間に齟齬がある場合は、原文の内容が優先されます。
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